「753」のお茶ができるまで

標高753mの山あいで、
お茶の摘み採りが始まるのは
毎年ゴールデンウィークの後半から。
家族や親族と一緒に、腰にカゴを下げて、
黄緑色の若く芽吹いたお茶の葉を
世間話に華を咲かせながら摘み採ります。

手で摘むお茶と機械で摘むお茶。
どちらも同じ畑から生まれますが、
摘み方で味が変わるのが、
お茶の面白いところです。

摘んだ葉は、自宅の茶工場へ。
日の光を避けて、風通しの良い場所に広げます。

「753」のお茶は先代の頃から、
わずかに水分を抜いて萎れさせることで、
山の香りを引き出しています。

自宅の茶工場には昭和時代の
製茶機械が並んでいます。

蒸し加減や火加減、取り出すタイミングは、
香りと見た目、手触りを頼りに判断します。

便利ではない機械だからこそ、
茶葉の声に耳を澄ませて、
丁寧に仕上げています。

「753」のお茶は、
お茶本来の渋みや旨みを楽しめる
「浅蒸し煎茶」に仕上げます。

自宅の茶工場で仕上げたお茶は、
仕上げ加工をせず、「荒茶(あらちゃ)」のまま。
火を入れずに、山の香りをそのまま閉じ込めています。

一番茶の荒茶を、
ふるいにかけて大きさをそろえ、
手鍋を使って香りと色を確かめながら
弱火でじっくり炒って
ほうじ茶に仕上げます。
香ばしさの中に、一番茶ならではの
やわらかな甘みが残ります。